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ひまわりイラスト ニュースとお知らせ   2022年6月号   A4, 12頁 ひまわりイラスト

  第10回パクー稚魚放流式特集  
The 10th Planting of Pacú Fry, in Bahía Negra

バイア・ネグラ市、アスンシオン大学、当会現地法人が共催
Cohosted by the Municipality, U.N.A. and F.D.S.A.N.S.

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パラグアイ川に稚魚を放流する、バイア・ネグラ市の人々。2022年5月13日
People of Bahía Negra plant pacú fry into the Paraguay. May 13, 2022

現地法人代表、岩澤春比古氏の報告より:2022年5月13日(金)、アルトパラグアイ州バイア・ネグラ市(Municipalidad de la Bahía Negra)、国立アスンシオン大学(U.N.A.= Universidad Nacional de Asunción)と南北米福地開発財団(F.D.S.A.N.S.)が共催して第10回パクーの稚魚放流式を行った。ちょうど13日はちょうどパラグアイの独立記念日の前日にあたり、市を挙げて早朝7時半から独立記念式典が行われたが、そこに参加した学生を始めほとんどの市民が、その後9時半から行われた私たちの放流式に参加するようになった。バイア・ネグラ市で初めての放流式ということもあり、市を挙げての記念すべきパクーの稚魚放流式を成功裏に挙行することができた。

バイアネグラ市で放流式を行うようになったきっかけ:昨年9月、レダの青年達たちとパクーの販売のためにバイア・ネグラ市へ行ったら、たまたまその販売先でジョア・フェレラ(愛称ネコ)現市長と会った。彼から「近く市長選があるが、もし当選したらレダと技術協定を結びたい。市の周辺にはディアナ村など先住民の村々があるが、経済的に貧しく違法な狩猟、密漁が絶えず、バイア・ネグラを観光の名所にしたくても今の状況ではできない。できたらここでもレダのようなパクーの養殖事業を行い、先住民たちをもっと豊かにしたい。予算は市の方で公的援助を取り付けるので、ぜひ養殖の技術を教えて欲しい。」と言われた。そしてネコ市長と色々話すうちに彼が真摯に地域の発展のことを心配していることが分かり、翌年はバイア・ネグラで放流式を行いたいと考えるようになった。

昨年の暮れから今年の1月にかけてパクーの人工孵化が成功、さらに3月まで約7万匹の稚魚が順調に育っていることを確認し、今年はバイア・ネグラ市で放流式を行う事を正式に決めた。4月9日、すでに選挙で市長に選ばれていたネコ氏を訪ね、今回は特にバイアネグラ市が中心となって3000匹以上のパクーの稚魚放流式を行う事を提案した。市長は快諾し、本格的な冬に入る前の5月13日(金)に放流式を行う事を決めた。

バイア・ネグラ市の主体的かつ積極的な関わり:それから放流式典開催まで何度か市長を訪ね、VIPの渉外、市民の動員、会場の設営、横断幕などの準備、式次第、軽食の準備など細かな打合せをした。今回ネコ市長自身が農牧省大臣、環境省副大臣、アルトパラグアイ州知事、地元バイア・ネグラ市の教育委員長、市会議員、判事、検事、海軍司令官、警察、カトリック教会、インディヘナ責任者などへ招待状を送り、また電話などで直接渉外を行った。また開催1週間前には地元のラジオ局を通してバイアネグラ市での放流式の大切さなどを放送した。

日本の青年たちの主体的かつ積極的な参加と奉仕、活躍:レダでのパクー養殖事業は青年の滝川君に完全に任されていて、今回の稚魚の育成、管理、水揚げ、放流などマグノ教授のアドバイスを受けながらも、彼がレダの従業員を動員し、すべて責任を持って行った。また式典全体を通して、環境保全そしてパクー稚魚の放流に関心を持った多くの高校生らが積極的に参加した。

アスンシオン事務局での準備:またアスンシオンでは当財団副理事長の中井重幸氏が環境省へ出向き、パラグアイ川への稚魚放流の許可書をもらった。さらに当財団と技術協定を結ぶ国立アスンシオン大学獣医学部水産学科長とも会い、2人の教授を放流式に送る約束を取った。

放流式前日にパクーの稚魚をバイアネグラ市へ運搬:3000匹を超えるパクーの稚魚をより安全、確実にバイア・ネグラ市まで運ぶ事は大きな課題であった。陸路だと約125kmと遠く、さらに雨で悪路となっているので、今回はパラグアイ川を使い、グッド・ゴー2 隻で約60km離れたバイア・ネグラ市まで稚魚を運搬することに決めた。これら2隻のグッド・ゴーはそれぞれ文先生、文夫人が乗られた船である。この日の朝は寒かったので、9時半に作業を開始、約4ヵ月で10cm前後まで成長した3400匹の稚魚を水揚げ選別し、グッド・ゴーに積んだ1トンの水タンクの中に移した。

そして11時半にレダを出発。エアポンプでタンクの水に空気を注入しながら、1隻は4時頃、他の1隻は途中バッテリーを交換して、5時頃バイア・ネグラに到着した。そしてすでに波止場近くに設置されていた6トンの仮設プールにすべての稚魚を移した。一通りの作業を終えた後、ネコ市長の温かい好意で、港近くにある市長の母、グロリアさんの家で遅い昼食と夕食をご馳走になった。夕食はレダが提供したパクーの開きをグロリアさんが薪を使って焼いてくださり、アスンシオン大学の教授とレダのスタッフ一同は大変美味しく食べることができた。その後、滝川君、川久保君を中心にチャマココの従業員たちが順番に、夕方から翌朝6時まで稚魚の見張りをした。

パラグアイの独立・建国記念日に行われた放流式:パラグアイの独立記念日は5月14日だが、今年はその日が土曜日なので、前日の13日に独立記念日が全国的に祝われた。バイア・ネグラでも朝7時半から中央公園で学生たちの太鼓に合わせた行進、国家斉唱、市長らの演説、伝統的な民族舞踊などが行われ、厳かな中にも気品ある独立記念日の祝典となった。9時過ぎにすべての行事が終わり、そこに参加した市長を始めとする200人近い地元の名士、市民、青年学生たちが稚魚放流式に続々と参加した。

第一部:9時半に放流式典の第一部が始まり、司会が今回初めてバイア・ネグラでパクーの稚魚3,400匹がパラグアイ川に放流されると話した。その後ネコ市長が当財団に対する感謝の言葉を述べ、岩澤財団理事長が祝辞、エドガル・バルブエナ教授は養殖の意義を説明、そしてバイア・ネグラ教育委員長はパクー放流と環境保護の大切さなどを話した。

岩澤はその祝辞の中で「もしバイア・ネグラ市でレダのような養殖事業が展開されれば、毎年市が直接稚魚を3万、10万と放流することができ、バイア・ネグラ市をパクーの一大生産地とすることも夢ではない。漁労で生計を立てる多くのインディへナをも豊かにし、さらにこの美しい自然を大切に保護していくならば、バイア・ネグラ一帯をエコツーリズムの名所にすることができる。」と話した所、皆が頷き、大きな拍手をした。第一部の式典が終わり、参加者は市が準備した軽食と揚げたばかりのパクーを満喫した。

第二部:放流式典の第二部は10時半から。最初にネコ市長が稚魚を放流し、それに続いて地元の名士たちと市民、そして学生たちが沢山の笑顔の中で、稚魚を放流した。当財団の友人である海軍のホルヘ・マグドナド司令官夫妻も3歳と5歳の小さな息子たちと一緒に放流し、放流の大切さを体験でもって教えていた。その後市と財団のスタッフで機材、テント、椅子などの片付けを行い、午後1時過ぎにはすべての行事を無事に、そして成功裡に終えることができた。

我々南北米福地開発財団の大きな目標の一つが養殖の技術を周辺の村々に教え、彼らを豊かにし、祝福を与え、教育し福地化することであるが、今回ネコ市長を中心にしたバイア・ネグラ市でその一歩を踏み出すことができたと確信する。これから是非バイアネグラでも市を中心とした養殖事業を始められるよう働きかけていきたい。また放流式の式典がパラグアイの独立記念祝祭の日に行われた意義も大きい。パラグアイは小さな国であるので、地方での成功は中央政府にも影響を与えやすい。パラグアイを神の祝福に満ちたパラグアイにするという私たちのビジョンを忘れず、これからもレダ・プロジェクトを前進・発展させていきたい。

    

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バイア・ネグラの市長と打ち合わせ
Mr. Iwasawa, Mr. Takikawa, and Mr. Omoto visit Mr. Joao Roberto Ferreira (3rd from left), Mayor of Bahía Negra. They discuss arrangement in details for the event of "Planting of Pacú Fry" in advance.

ジョア・フェレラ(愛称ネコ)市長(左から3人目)を訪ね、パクー稚魚放流式典の実行に関する詳細な打ち合わせをしました。(4月9日)
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パクー稚魚の追い込み
On the morning of the day before planting, they take up pacú fry from the farming pond of Leda.

放流式典の前日に行う、稚魚の水揚げ作業。養殖池の稚魚を網で囲んで岸へ追い込みます。(5月12日)
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稚魚を選別する
They select pacú fry of the size of 10cm, grown in four months after hatching.

4か月で体長10cm前後まで成長した稚魚、3400匹を選び出しました。(5月12日)
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グッド・ゴーに移す
They transfer the fry into a water tank of 1,000L, loaded on the boat "Good Go" to depart at 11 a.m. from Puerto Leda for Bahía Negra.

ボート"Good Go"に積んだ、容積1キロリットルの水タンクに稚魚を入れました。午前11時レダ出港。エアポンプでタンクの水に空気を送り込みながら、バイア・ネグラまで約60㎞、大切に運びます。(5月12日)
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バイア・ネグラ市中央公園
Central Park of Bahía Negra, venue of the big event of the next day.

パラグアイ川に面したこの公園が、翌日の式典の会場になります。(5月12日)
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市が作成した横断幕
The Municipal Office of Bahía Negra has prepared this banner for the special event.

"SIEMBRA DE PACU" は「パクーの種まき(培養)」で「放流」のことです。"RIO PARAGUAY" は、もちろん「パラグアイ川」です。(5月12日)
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稚魚を入れるプール
Collapsible water pool of 6,000L (about 1,600 gal.) prepared to accommodate 3,400 pacú fry soon arriving from Leda.

6キロリットルの水を入れられる組み立て式プール。翌日の放流まで、3,400匹の稚魚を元気な状態に保つために準備した物です。(5月12日)
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稚魚がバイア・ネグラに到着
The two boats "Good Go" arrive at the port of Bahía Negra, overcoming unexpected technical troubles on their way.

11時にレダを出港したボート"Good Go" 2隻が、想定外の試練を乗り越えて、バイア・ネグラ港に順次到着しました。(5月12日)
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プールに稚魚を移す
Quickly, they transfer the fry into the water pool. Now, they have cleared the first big task.

レダからボートで運んできた稚魚を、やさしくプールに移します。これで一つの難関をクリアしました。(5月12日)
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夜間の見張り
Young men from Leda watch the fry overnight.

レダの従業員と若いスタッフが、朝まで交替で稚魚を見張ります。(5月12日)
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独立記念日の祝典 (1)
The Independence Day of the Republic of Paraguay is May 14, but it's Saturday this year. Therefore, they celebrate the Independence Day on May 13, instead.

パラグアイ共和国の独立記念日は5月14日ですが、今年はその日が土曜日なので、全国的に13日に祝典を行いました。(5月13日)
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独立記念日の祝典 (2)
Many citizens gather to the Central Park for celebration. They stay there and attend the following event of Pacú Planting as a matter of course.

独立記念日を祝うため、多くの市民が会場に集いました。そしてそのままパクー稚魚放流式典に参加しました。(5月13日)
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独立記念日の祝典 (3)
The Independence Day is celebrated with dignity and confidence all around the Republic.

独立記念祝典は、どんな小さな町や村においても、厳かに、格調高く、誇りをもって遂行されます。(5月13日)
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放流会場入口
At the entrance to the wharf for planting fry event stand Mr. Haruhiko Iwasawa (left) and Professor Edgar Balbuena.

岩澤春比古理事長(左)と、エドガル・バルブエナ教授。(5月13日)
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集まるバイア・ネグラの市民
With fascinated eyes, people of Bahía Negra look at pacú fry swimming in the water pool.

たくさんの稚魚が泳ぐ水槽を、興味深くのぞき込む人々。生涯初の体験でしょう。(5月13日)
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酸素を詰める
In plastic bags are oxygen, river water, and pacú fry.

透明な袋に稚魚を小分けにして、水と酸素を充填しておきます。(5月13日)
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川の水温に慣らす
Fry are getting used to the temperature of river water gradually.

稚魚を放流する前に、ゆっくりと川の水温に慣らしておきます。(5月13日)
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放流式場の舞台
Mayor Neco (nickname of Mr. Ferreira), Mr. Iwasawa, and Prof. Balbuena on the stage of the Planting Ceremony Part I.

左より、ネコ市長、岩澤理事長、バルブエナ教授。(5月13日)
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パクー稚魚放流式典
Mayor Neco says gratitude to our foundation; Mr. Iwasawa speaks for hope of Bahia Negra; and Prof. Balbuena, for the significance of aquiculture of fish.

ネコ市長が私たちの財団に感謝の辞を述べ、岩澤理事長が祝辞を述べて、エドガル・バルブエナ教授が養殖の意義を説明しました。(5月13日)
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海軍司令官と市長夫妻
Marine Commander (center), Mr. and Mrs. Mayor, and invited guests: they are our good acquaintances.

地元の名士、来賓(VIP)と私たちとは長年の顔なじみで、皆さん協力的です。(5月13日)
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共催者の代表
Representatives of the three organizations cohosting "Planting of Pacú" in Bahía Negra. Mayor, Professor of the U.N.A., and Chairman of the F.D.S.A.N.S.

本日の放流行事を共催した3機関の代表者たち:バイア・ネグラ市長、アスンシオン大学教授、南北米福地開発財団理事長。(5月13日)
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軽食の準備
Nice snacks prepared by ladies of Bahía Negra.

裏方として働いてくれる人々のおかげで、行事がいっそう楽しく、思い出深くなります。(5月13日)
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美味しいパクーの唐揚げ
Fried pacú you may love.

レダ産パクーの揚げたてをパクパク。パラグアイの国民的人気食品です。(5月13日)
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まず市長から放流
Mayor Neco initiates planting pacú fry into the Paraguay, as the representative of the people of Bahía Negra.

まず、バイア・ネグラ市を代表して、ネコ市長が放流します。(5月13日)
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生徒が稚魚を放流
Everyone follows the mayor.

来賓と一般市民たちが、大人も子供も放流します。(5月13日)
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放流します!
Not only catching and eating, but also planting and increasing. That's a new concept about fish.

今まで、魚はただ獲って食べるものでした。これからは、育てて増やすものにもなりました。(5月13日)
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レダのスタッフも稚魚を放流
Our carpenter Mr. Mizuochi plants fry from the wharf he built.

放流のための桟橋などを造った、大工の水落氏も感慨を込めて放流します。(5月13日)
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式典会場の片付け
Clean up the venue after the whole event is over.

すばやく、完全に片づけて、会場跡をきれいにしました。(5月13日)
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感謝の昼食
Thanksgiving lunch. The mayor's mother treats Leda staff with delicious home cooking before they leave for Leda.

市長のお母さんの手料理で、美味しいお昼をごちそうになりました。(5月13日)
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レダ基地における稚魚の放流 (1)
At Puerto Leda, they plant more pacú fry into the Paraguay.
Again, with an encircling net, they corner fry toward the shallow bed of the farming pond.

養殖池に入って稚魚を追い込みます。(5月27日)
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レダ基地における稚魚の放流 (2)
Pick up little fry tenderly and swiftly.

ていねいに、素早く、稚魚をバケツに移します。(5月27日)
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レダ基地における稚魚の放流 (3)
The little girl and the little fish may be of the equivalent ages. They will grow big in the future.

同じ年ごろと言えるかもしれません。将来、大きくなります。(5月27日)
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レダ基地における稚魚の放流 (4)
At planting, you should gently release fry into the river, a new world for those little fish.

稚魚を放流するときは、静かに、やさしく水に入れてやります。(5月27日)
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レダ基地における稚魚の放流 (5)
All local employees experience a first step of restoration of precious natural resources.

従業員たちも、自らの手で稚魚を放流し、資源回復の第一歩を体験します。(5月27日)
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レダ基地における稚魚の放流 (6)
They have finished today's planting work. Muchas Gracias!

本日の放流作業を完了して、作業に携わった全員で記念撮影。(5月27日)

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