植樹活動
環境保全牧場
農業試験場
養殖
学校への支援
青年ボランティア
教育施設の建設
Tree planting
Pasture
Agriculture
Fish farm
For schools
Youth service
Educational facilities
水中牧場で活かすパンタナールの恵み
Fish may replace cattle in the Pantanal.
近年、世界の海や河川、湖沼で魚の乱獲がしばしば報じられます。パラグアイ川も例外ではなく、ブラジル、パラグアイ両国ともに、禁漁期の設定、密漁の取締りなど、水産資源の保護は重要な政策となっています。魚肉としてもスポーツフィッシングの対象としても人気の高いドラードは、すでに2008年から捕獲禁止になっています。また、グルメ魚として合法、非合法の市場で高価に取引されるスルビも生息数の激減が危惧されています。
かつて豊富な水産資源に恵まれていたパンタナールも、その増殖、養殖、畜養などに力を入れるべき時代に入っています。南北米福地開発協会では、大資本の投下を必ずしも必要とせず、地場産業として育成する可能性を考慮し、パクー、ボガなどの草食性もしくは雑食性の魚の養殖研究に着手しました。
パンタナールに生息する魚の種は多くても、市場価値を持つ魚種は極めて限られています。その中で、特にパクーは味が良いこと、大きく育つこと、ピラニアのように危険な歯を持たないことなどの長所により、庶民に根強い人気があります。
パクーの人工孵化に成功
First success of artificial incubation of pacu in the Chaco
2012年12月30日、レダ基地において初めてパクーの人工孵化に成功しました。これは、イタイプダム養殖場やジャシレタダム養殖場などに続いて、パラグアイで五箇所目であり、チャコ地方においては初めての成功例です。
次いで、2013年1月23日、大量の孵化にも成功しました。同3月初めには体長約5cmの稚魚に育ち、順調な生育ぶりを確認。この成功により、先住民コミュニティでの完全ローカル養殖、パラグアイ川への放流、低コスト養殖技術の普及などへの実現に向けて、当協会の養殖プロジェクトが大きく前進しました。
他の養殖場と異なり、レダ基地では透明な水をふんだんに使用することができません。パラグアイ川の水は粘土でにごり、しかも高緯度のために水温も高く、人工孵化にはハンディとなって来ました。しかし、現地スタッフのたゆまぬ努力と熱い情熱とがそれを克服し、推定10万個程度の成熟卵を得ることができ、授精、孵化、養育へと進展しています。
稚魚をパラグアイ川に放流
Pacu fry released into rhe Paraguay
2013年5月3日、レダ基地において成長したパクーの稚魚をパラグアイ川に放流しました。国家にとっても画期的な放流なので、記念行事として放流式典を執り行い、フェデリコ・フランコ大統領をはじめ、農牧省大臣、環境庁長官、ほか多数の国家および州のVIPが参加しました。フランコ大統領は、「(歴史的に見捨てられてきた遠隔地の住民たちが)政府に頼らないで生活する解決策をレダは提示してくれております。それ故、南北米福地開発協会に感謝しますし、インサオラルデ博士を中心とした大学の水産科の努力に感謝するものであります。政府はこのような努力に常に協力したいと思っております。」と挨拶されました。
今回の稚魚放流について、中央政府やマスメディアがうれしい驚きを隠さず、今後のチャコ地方の発展に大きな関心を示してくれたことは、私たちにとって大変に心強いことです。アスンシオンの全国紙ABCも、これを大きく報道しました。これを契機に、さらに大量の稚魚を育て、地域コミュニティに養殖技術とセットで提供し、またパラグアイ川の水産資源を回復する計画が、いっそう実現に近づきました。
当然ながら、研究課題は多くあります。安全で美味しい魚の育て方。普及性。作業の簡易化。付加価値を高める加工法。保存法。設備の維持管理。経済性。マーケティング。観光資源(禁漁期の釣堀)としての応用。ワニ、野鳥、野獣などの侵入対策。洪水、大雨対策、等々。その他、未知の課題も現れてくることでしょう。また、生態系への影響から、ティラピアのように、本来現地に生息していない魚種を、川の近辺で養殖することはできません。
私たちは将来、牧畜と並び、あるいはそれ以上に富と栄養を生み出す「水中牧場」の普及を目指して参ります。パンタナールの森を守ることにも通じるこの計画に、皆様も応援くだされば幸いです。
これまでに実施したパクー稚魚放流式 | |||
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特集記事(リンク) | 実施日 | 会場 | 主な参加者 |
第1回パクー稚魚放流式 | 2013年5月3日 | レダ基地 | フランコ大統領、農牧省大臣、環境省大臣、他 |
第2回パクー稚魚放流式 | 2014年4月25日 | レダ基地 | フランコ前大統領夫妻、下院議員、メディア各社の記者、他 |
第3回パクー稚魚放流式 | 2015年5月8日 | レダ基地 | アスンシオン大学獣医学部長、水産学科長、他 |
第4回パクー稚魚放流式 | 2016年5月5日 | レダ基地 | アファラ副大統領、上下院議員、アスンシオン大学獣医学部長、水産学科長、他 |
第5回パクー稚魚放流式 | 2017年5月5日 | レダ基地 | フランコ前大統領夫妻、田岡大統領顧問、農牧省、環境省、最高裁の要人、他 |
第6回パクー稚魚放流式 | 2018年5月4日 | レダ基地 | フランコ前大統領夫妻、アスンシオン大学獣医学部長、水産学科長、日系移民、他 |
第7回パクー稚魚放流式 | 2019年5月10日 | レダ基地 | レダ基地スタッフ、オリンポ市の高校生31名と教師3名 |
第8回パクー稚魚放流式 | 2020年6月13日 | レダ基地 | レダ基地スタッフ、従業員、海軍派出所員、警察駐在員 |
第9回パクー稚魚放流式 | 2021年5月21日 | フエルテ・オリンポ市 | フエルテ・オリンポ市長、市会議長・議員、州の要人、漁協、高校生、市民 |
第10回パクー稚魚放流式 | 2022年5月13日 | バイア・ネグラ市 | バイア・ネグラ市長、アスンシオン大学教授、市民、生徒たち |
第11回パクー稚魚放流式 | 2024年6月5日 | バイア・ネグラ市 | バイア・ネグラ市長、アスンシオン大学准教授、環境大臣代理、市民、生徒たち |
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