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2019年5月号

  第7回パクー稚魚放流式特集  
The 7th Planting of Pacú Fry from Puerto Leda

「生涯忘れられない経験です!」
"Unforgettable experience for life!", say Olimpian students.

写真2019may00
第7回パクー稚魚放流現場に集合した、オリンポ市の学生、教師、レダ基地スタッフ、ほか 2019年5月10日
Students and teachers from Fuerte Olimpo releace pacú fry into the Paraguay on May 10.

 5月10日、レダ基地で毎年恒例となっているパクーの放流式を行いました。今回はオリンポ市の高校生と教師を迎え、若い活気に溢れた式典となりました。参加した学生たちは、養殖池に網を持って入り、魚を取り出すという異例の作業も体験。式典後の彼らの感想は「この放流式は生涯忘れられない経験となりました!」

まず今回の放流式では、若者たち自らの手で放流を体験してもらうことを主眼としました。参加者全員が放流することはもちろん、多くの若者が参加できるよう、毎週金曜日に通過する定期貨客船アキダバンでレダへ往復できるように計画しました。オリンポの高校では、校長先生をはじめ、教師と学生たちが指折り数えて、その日を待っていたと言います。当初は5月3日を予定したのですが、天候が悪く、翌週に延期。幸い5月10日は、好天に恵まれました。

10日午前2時、オリンポからの学生31名と先生方3名が到着。準備しておいた部屋で休んでもらいました。朝食後、大ホールで中田所長、佐野氏、岩澤氏が、稚魚放流の意義と「皆さんが住むこの地のすばらしさ」について語りました。そして養殖池に案内し、池からパクーを取り出す作業を説明。彼らは興奮しながら、喜んで作業してくれました。今回は大きめに育った若魚を放流します。そのパクーを川岸まで運び、自らの手でパラグアイ川に放ちました!

続いては、レダ基地の施設見学。農場、タロイモ田、魚肉工房など、興味が尽きません。  昼食後、レダとオリンポの青年が、歌やダンスを披露し合い、楽しく交流しました。その後、自由時間となり、皆一斉にプールへ直行。きれいで安全な水に初めて入った若者たちは、歓声を上げて、思い切り泳いでいました。

今回の放流式では、経費が低くて済んだのですが、予想以上に素晴らしい式典となりました。  帰りの船が遅れて夜になったので、夕食も急遽準備しました。レダの青年と研究生たちが大活躍してくれたことも、特筆したいと思います。改めて、篤いご支援をお寄せくださったすべての皆様に深く感謝いたします。

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放流式に集った、オリンポ市の高校生たちと先生方
Students and teachers of Fuerte Olimpo visiting Leda Farm. It's their long-cherished dream come true.

長い夢がついに叶って、レダ基地にやって来た学生たち。中田所長、岩澤氏、佐野氏からオリエンテーションを受けました。(5月10日 残りのせべての画像も)
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パクーの追い込み開始前
Students getting ready to go in the farming pond, holding with their hands a wide fishing net. Life jacket is mandatory because the pond may happen to be deeper than your height on your way.

幅広の網を、約1m間隔で持ちます。池に入るということで、一部の学生に逡巡の雰囲気も。ライフジャケットを着て、準備完了。
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パクーを追い込む
Slowly, slowly, forward, they walk or swim toward the opposite bank of the pond. Everybody in the pond is very serious. They sometimes feel escaping fish touching their bare legs and feet.

最初の1歩を踏み出したら、前進するのみ。背が立たない人もいます。みんな真剣な面持ち。ゆっくり、ゆっくり、前に進みます。逃げた魚が足にぶつかることも。
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パクーを追い詰める
Finally, they succeed to corner lots of pacú at the opposite bank. They are excited seeing all pacú jumping most vitally. Standing-by students get into the muddy water with a scoop net.

対岸に到着しました。たくさんのパクーが暴れて跳ねます。岸で待ち受けていた者も、手網(たも)を持って、泥水に入ります。
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パクーを掬い出す
It's big fun to scoop vivid pacú. All students make a happy noise to one another, with joy of working and playing in muddy water, just like little children.

やってみると、とても面白い。大きく育った、きれいなパクーばかり。久しぶりに泥まみれになって、大はしゃぎ。
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パクーをトラックへと運ぶ
They carry pacú with a scoop net and put it into the large vessel on a pickup truck. With so many hands, the fish quickly leave their nursery for the vast wilderness.

掬ったパクーをトラックの荷台の水槽に運びます。人海戦術でどんどん水揚げして行きました。
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パクーの放流現場
The branch stream of Leda and the main stream of the Paraguay meet in front of the cape of Puerto Leda. Since this is the ideal location for releasing young fish, the previous six occasions of pacú planting were all there, too.

リアチョとパラグアイ川本流の出合、岬の先端が、毎年恒例の放流現場です。今回は、VIP用の桟橋はありません。
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パクーをバケツに入れる
Pacú arrives at the cape. During the past six years, hundreds of thousands of very young fries (juveniles) were planted for the recovery of aquatic resourse and scientific research. This year, however, we aim at educational experience for local people and students.

水槽内のパクーを、バケツに入れて、川岸に運びます。今回は、これまで行って来た学術調査のための稚魚放流ではなく、住民の体験学習のため、生存率の高い育成幼魚を放流しました。
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放流するパクーを手に
Young pacú grown as large as fully grown piraña. This large pacú may survive fish-eaters in the wild river much better than very young fry. Considering a local and temporary environmental load, we limit the number of pacú to be released to around one thousand.

ピラニアの成魚と同等以上の体格に成長したパクーの幼魚。環境への一時的な負荷を考慮し、放流数は例年の100分の1程度と、大幅に制限しました。
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パラグアイ川にて記念のショット
Except fishermen, even local habitants rarely have opportunities to hold live fish in their hands and work in very muddy water. Many of the students happily say, "This is an unforgettable experience for life!"

自分の体で生きた魚と泥水に触れることは、漁師でない限り、地元民でもめったにありません。若者たちの感想は、「生涯忘れられない体験になりました!」
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魚肉加工場を見学
After the event is over, we take the students for a mini tour in Leda Project Site such as the farm, coral, plantation, orchard, taro field, etc. They try some fish products at Mr. Kobashi's workshop, one of the most popular facilities for all visitors.

放流式の終了後は、レダ基地内のミニツアー。農場、牧場、植樹園、果樹園、タロイモ田など。中でも小橋氏(右手前)の魚肉加工工房は、毎回人気のスポットです。ご試食、いかがですか?

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現地で準備に奔走した佐野道准氏の報告: Report by Mr. Michihito Sano, coordinator for the event

今年の放流式は、地元の人々がよりレダを理解し、自然保護の意識を高める行事にしようと、教育も兼ねてオリンポの学生たちを招くことになった。

今年は4月~5月に異常な豪雨が続き、道路が全く使えない。チャコ地方のパラトドという町は、平年なら水不足に悩まされるのに、今年は水に浸かり、屋内でも長靴が必要という異常事態。多くの家庭が別の町に仮住まいを余儀なくされた。トロパンパやマリア・アウシリアドーラなど、内陸部の村は食料や燃料の補給手段が断たれ、州政府が緊急に飛行機で食料品や日用品を運んだ。それゆえ交通手段は船に頼るしかなかったのだが、一番安く確実な方法が定期船の利用なのである。

本来は5月3日(金)を予定したが、その週も大雨が降って、レダ基地が過度にぬかるむ状態となり、水曜日の朝、急遽翌週に延期した。せっかく生徒たちの長年の夢がかなってレダに来るというのに、最悪の場合は放流式も出来なくなる心配な状況。だが先方も事情が分るので、快く納得してくれた。

次の週も天候が心配されたが、何とか雨を避けられそうでもあった。9日の朝、オリンポで一行が定期船(アキダバン)に乗り、夜9時か10時頃のレダ到着を想定していた。しかし政府がこの船を使って様々な町や村に緊急援助品を届けたため、運行が大幅に遅れ、オリンポ出発が午後2時となった。

深夜2時、ようやく船がレダに到着。皆明るく元気に船から降りてきた。生徒が31人(男子13人、女子18人)、教師は校長先生を含む男性2人、お母さんが1人付いてきて総勢34人。先生方は講師室に、他の人たちは男女別2部屋に泊まってもらった。

翌10日は7時から朝食。8時に大講堂に集合。まず中田氏の挨拶、次いで岩澤氏の挨拶。そして私がパワーポイントでレダのプロジェクトの紹介をした。レダの紹介は、まず原野の開拓から始まって、現在の状況があること、文先生御夫妻がパラグアイ、パンタナールを深く愛しておられること(自叙伝などを引用)。これは彼らに自分の生まれた地に誇りを持ってもらうために強調した。そしてレダプロジェクトは、地域振興と環境保護を常に念頭に置いて進めていること。今まで先住民や地域コミュニティに奉仕してきたこと。これは文先生御夫妻の「為に生きる」哲学の実践であることなどを訴えた。オリンポの市会議員でもあり、カトリックの篤実な信者である校長先生は特に熱心に聞いてくれた。生徒たちも皆、関心を持って聞いてくれたと思う。

その後9時半頃、全員で養殖池に行った。今回は上山貞和氏の企画で、彼らに魚をすくってもらい、それを川に放流するという方式を取った。初めて池に入るので、最初は少し抵抗があった青年たちも、労働者たちに続いて元気よく池に入って行った。幅20mぐらいの網を1m間隔で持ち、徐々に対岸に寄せてくる。そして池の対岸まで魚を追い込んで網を引き寄せると、数多くの魚がひしめき合って跳ねる。これをすくうためには泥池に飛び込んでいかねばならない。でも飛び跳ねる魚を小網ですくうことの面白さに皆キャーキャー叫びながら、池に入って行った。池の斜面で滑って転ぶ者、魚が跳ねて顔が泥だらけの者、シャツもズボンも泥んこびしょ濡れ。こうして全身で遊ぶことは子供の頃以来だろう。

魚を入れた水槽をトラックで川岸に運び、バケツですくって川に放流した。もう水に入ることを恐れる者はいない。放った魚は約1000匹と思われる。その後泥まみれの服装で全員記念撮影。何人かは泥んこの服装で先生に抱きついていた。この時ばかりは先生も何も言えない。皆、これは記念すべき生涯初めての体験だと言っていた。

その後シャワーを浴び、着替えて昼食。着替えを持ってきてないという人がいて、レダのスタッフが自分の服をあげている光景もあった。(事前に池に入ることは伝えてあったけれど。)

昼食のメインは恒例の牛のアサド。また小橋さんが造ったパクーやピラニアの魚肉製品が各テーブルに置かれた。食事中、小橋さんに少し説明をしてもらったが、皆は珍しそうに味見をしていた。食事が一段落した時、オリンポの青年たちが予め準備してきた歌を2曲歌ってくれた。校長先生からは感謝のことばが述べられた。次にレダの青年5人が踊りながら歌ってくれた。彼らはスタッフとして走り回る中(放流の準備、清掃、カメラ、食事準備など)こういうエンターテインメントも準備してくれ、まさに大車輪の活躍だった。

昼食後、2時半から簡単な施設巡り。まずエビ養殖の研究室。鮮文大生がパワーポイントで養殖を紹介してくれた。そして小橋さんの工房。ここはいつも人気スポット。そして養殖池へ行き、飼料を撒いてもらった。最後にタロイモ畑。吉村敏明氏がきれいに整備した、一番大きな畑が映えていた。

午後3時半からの自由時間は、ほとんど全員がプールへ。6時の夕食の直前までプールを楽しんでいた。オリンポにはもちろんプールはない。川での泳ぎは危ないので、彼らには泳ぐ機会があまりない。こういうきれいなプールで泳ぐことは彼らにとって夢の中の夢。最高の思い出になったようだ。

夕方7時過ぎ、アキダバンが遅れて到着した。皆紅潮した顔、興奮した様子で、各人思うがままにしゃべりながら港まで歩いて行った。見るからにとても満足そうだった。一人一人握手しながら船に乗り込む。

今回、オリンポの青年たちを招待したことはとてもよかったと思う。まず校長先生をはじめ、先生、父兄にレダプロジェクトの内容を理解してもらえたことは非常に有意義だった。今後地元の各分野の人を招待して啓発したいと思う。生徒たちにとっては、彼ら自身が言っていたように、生涯唯一の体験であったかもしれない。辺境の地に住む人たちにもリゾート地に行ったような体験をさせてあげることができた。池に入って魚を捕獲し、童心に帰り、全身を使って活動できた。オリンポが世界的に有名なパンタナールにあり、自分たちがその住人であるという誇りを、多少とも感じてもらえた。またレダが様々なプロジェクトを通してこの地域の復興を目指していることなどを理解してもらった。こうして彼らのレダ初訪が有意義なものになったと思う。

今回の放流式は、少ない人数で実行したので、上山氏にかかる負担が大きかったと思う。そして各人が分担した役割を死守してくれた。このことに深く感謝したい。特にレダの青年たちがどんなことでも嫌な顔ひとつせず、二重、三重に責任をこなしてくれたことが今回の成功につながったように思う。

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