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ひまわりイラスト ニュースとお知らせ   2019年10月号   A4, 9頁, IE, Edge ひまわりイラスト

  第19回国際協力青年奉仕隊特集  
The 19th Youth Service for International Cooperation

プエルト・グアラニの町の悲願を実現!
Long-cherished wish of the community of Puerto Guarani finally comes true!

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プレゼントを前に、第19回国際協力青年奉仕隊員とプエルト・グアラニの生徒と教師たち。2019年8月30日
Team members and schoolchildren and teachers of Puerto Guarani with gifts in front. Aug. 30, 2019

去る8月25日に日本を発った、第19回国際協力青年奉仕隊は、すべての日程を終えて、9月13日、元気よく帰国しました。一行は、日本から男子5名と女子8名、これにアスンシオンで5名の男子と、レダで2名の男子とが合流し、総勢20名となりました。このうち、女子3名と男子1名が3か月間の中期ボランティアとして、さらに男子1名が1年間の長期ボランティアとしてレダ基地に残り、いずれも熱心に奉仕活動や養殖研究に取り組んでいます。

パラグアイに到着した奉仕隊は、歴代の奉仕隊と同様、まずメノー教徒が内陸の不毛地帯に入植して建設した町の一つ、ロマ・プラータを訪れました。困難の連続でも希望を見失うことなく奮闘した先駆者たちの開拓史を学び、彼らが実現した清潔で豊かな町や工場を見学しました。そして翌日、バスで8時間ほどかけて、バジェミ港に移動。チャーターした観光船に乗り、6日間の研修と奉仕活動の旅へと出港しました。

活動地のプエルト・グアラニでは、学校のために金網の柵とレンガの塀を造りました。また校舎の壁を修理して、ペンキで塗装し、食堂内に壁画を描きました。そして第17回奉仕隊がフエルテ・オリンポで行ったのと同様に、ゴミ箱を設置してクリーンキャンペーンを行いました。これらは住民たちのかねてからの熱望に応えたものです。歓送式典(お別れ会)で校長先生、教育委員会の責任者、コミュニティの責任者たちは、「学校に塀を完成させることは、自分たちの長年の悲願でした」「単なる感謝という言葉では表現できないほど、心から感謝しています」と述べました。

研修と宿泊と食事は、すべて船上で行ったので、コミュニティへの負担を最低限にすることができたほか、天候不順の場合の交通手段を確保するための心配もなく、交通費の節約もできました。観光船を利用するメリットは、次回以降の計画にも参考になることでしょう。レダ基地上陸後は、タロイモ収穫、パクーの水揚げと内臓処理、ヤシ繁茂地の開墾、釣り、乗馬ほか、恒例の体験学習の連続。また「第1回パラグアイ先住民のための40日研修会」と日程が重なり、映画「ミッション」に登場するグアラニー族の研修生たちと、歴史的出会いも果たしました。

幸い今年も、奉仕隊は怪我人や病人を一切出すことなく、全日程を完了することができました。改めて、支援をお寄せくださったすべての皆様に深く感謝いたします。(注:プエルト・グアラニの地名と、先住民グアラニー族とは、名称が共通であること以外、直接関係ありません。)

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ミルク工場を見学
Visit to the milk factory of the Mennonite town Loma Plata.

ロマ・プラータはメノー教徒たちが建設した、清潔感ある平和な町の一つ。このミルク工場では、長期保存ミルク、豆乳、ヨーグルトほか多くの乳製品を全国の市場に送り出しています。工場内では整然としたオートメーションや、フォークリフトを運転する先住民たちの姿を見られます。(8月28日)
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パ日カップル
A Paraguayan-Japanese couple. This tour is almost their honeymoon. Single members all see the happy couple very closely.

今回の奉仕隊には、パラグアイ人のペドロ君と、日本人の伊藤さんの新婚カップルも参加しました。いつも仲良し、幸せそうな二人の姿を毎日至近距離で見て、独身隊員たちは何を思ったことでしょう? (8月29日)
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軽快に舞う
Little schoolgirls perform a rhythmical Paraguayan dance in the welcoming session for the Youth Service Team.

プエルト・グアラニでの奉仕活動地は、コミュニティ内の学校。到着するとすぐに歓迎式が催され、双方の挨拶、隊員の紹介に続き、歓迎の歌とダンスが双方から披露されました。写真は、軽快なリズムに乗って民族ダンスを見せてくれる小学生。(8月30日)
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プエルト・グアラニの生徒たち
All schoolchildren listen and watch the Youth Service Team singing and dancing for the community during the welcoming session.

青年奉仕隊の歌に聴き入り、ダンスに見入る生徒たち。これから4日間、各生徒の能力や希望に応じて、奉仕隊委員と共に奉仕作業に参加します。これは村の生徒たちにとって、生涯めったにない体験。これをきっかけに向学心が高揚する生徒もいることでしょう。(8月30日)
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プエルト・グアラニの皆さん、よろしく!
"What a beautiful harmony! What a dynamic dance!" -- "Let's work together to better your school!"

奉仕隊は、出発前から歌とダンスを準備してきました。心を溶かすようなハーモニー、躍動的なダンス、たちまち子供たちと大人たちの心をつかんでしまいました。芸術に国境なし。(8月30日)
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新しいお兄さんと新しい弟
Brand new brothers. They don't understand each other's language, but their smiling eyes talk instead.

お互いに相手の言葉は解りません。ボディランゲージと顔の表情とオーラ、そして一緒に手を動かして作業をすることで、あっという間に仲良くなってしまう彼ら。純真な子供たちと若者たちは、すばらしい適応力を発揮していました。(8月30日)
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全力で遊ぶ
After singing and dancing with their full power, they work, play, and eat with their full power.

全力で歌って踊った後は、全力で働き、全力で遊び、全力で食べました。限られた時間内での出会いは、とても貴重です。そして夜は、全力で学習し、眠りました。明日に備えて。(8月30日)
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校舎の外壁を塗装
Professional plasterers have repaired all walls of the school. Now, our Youth Service Team paints them beautifully.

あらかじめ本職の左官に、傷んだ校舎の壁の修理をしてもらいました。奉仕隊はペンキ塗装をし、外装を美しく仕上げました。生まれ変わったような校舎を見て、作業に参加した生徒ら、先生方、住民たちは、奉仕隊員たちと喜びを共有。教育環境の改善は、当会のプロジェクトの柱の一つです。(9月1日)
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慣れない手つきだけど
In the Youth Service Project, every experience is the first experience for the team members and school children. The girl will never forget her experience of today.

見ていると楽しそうで、やってみるとちょっと難しい。そんな作業がたくさんあります。国際協力青年奉仕隊は、最初から最後まで、初体験の連続です。この子も、きょうの日を忘れないことでしょう。次にこの子と出会うのは、いつ、どんなところでだろう? (9月1日)
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甘え上手です
Those children are very good at playing baby and induce love in the hearts of the elders. If you find a shy child, run quickly to take them by the hand and give a big smile.

子供たちは、年長者から愛情を引き出すのがとても上手で、自然です。人懐こく、くったくのない笑顔。でも恥ずかしがり屋さんも、やはりいました。そんな子供を見つけたら、即アプローチです。(9月1日)
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学校の食堂に描いた壁画
The team of the five finish the wall painting on the canteen wall. All school children come and eat here. They will look at the bright wall and paint in their mind a bright future.

この5名で壁画を描きました。食事をするたびに見て、明るい未来を想い描いてほしいという願いが込められています。子供たちが心に描く希望こそ、この町と国と世界を、今よりもずっと明るくすることでしょう。(9月1日)
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仲良く一緒にゴミ箱を持って
Clean campaign. We prepared 40 half-drum trash cans. They together take them to the corners of 40 public places that need to be kept cleaner.

クリーンキャンペーンのために、ドラム缶を二つに切ったゴミ箱を、40個用意しました。皆で公共の場所や人々の多く集まる場所に設置しました。クリーンな心で、クリーンな町を!(9月2日)
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新しいお姉さんと新しい妹
Brand new sisters. During the activities of the Youth Service, you will have many little brothers and sisters; and they, many elder sisters and brothers.

奉仕隊活動では、たくさんのお姉さん・お兄さんと、たくさんの妹・弟ができます。最後は涙で別れつつも、SNSによる連絡先を交換し合うのが近年の風景になりました。(9月2日)
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校長先生から感謝状
At the farewell session, the school headmaster gives a certificate of appreciation to us (the FDSANS) and each member of the Youth Service Team.

歓送式には、町の責任者たちとともに、州都オリンポから教育委員会の責任者と市会議長が来て、それぞれが私たちへの感謝の辞を述べました。そして司会の校長先生から、当協会と青年一人一人に感謝状が贈られました。(9月2日)
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先輩の体験談 (1)
During sailing, seniors share precious experiences with the youth on board. Mr. Sakamoto (left), a long-runner in South America, and Peter Paulo, Rev. Moon's boat driver, give testimonies of historical value.
船の移動中も貴重な時間です。日系ブラジル人で、大先輩である坂本氏(左)と、文先生のボートの運転手をしていたピーターパウロさんが、歴史的にも貴重な体験談を語ってくれました。(8月29日、バジェミ~グアラニ間にて)
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先輩の体験談 (2)
Mrs. Myung Soon Kim with her husband Mr. Mauricio Bardini join the team at Porto Murtinho. She shares her experiences of directly attending Rev. and Mrs. Moon in South America.
南米で直接文先生に仕えられた、キム・ミョンスンさんは、ご主人のマウリシオ・バルディーニさんと共に、ポルト・ムルチーニョで奉仕隊と合流しました。オリンポに移動する間に、感動的な体験談を語ってくれました。(9月2日)
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レダ基地に上陸
The team disembarks from the chartered boat and lands at Puerto Leda. (7:27 a.m.)

チャーターした観光船(釣り船)が未明にレダに接岸。夜が明けるのを待って、上陸しました。レダでは幾多の体験学習を通じ、諸プロジェクトの現場を五感で学びます。ようこそ、奉仕隊の皆さん!(9月3日)
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タロイモ収穫体験
They experience harvesting taro. It must be thoroughly washed and consumed soon or stored frozen. Stocks and leaves are chopped to pieces as food for pacú.

タロイモ水田に膝まで浸かり、大きく育ったタロイモの株を、丸ごとごぼう抜きにします。コツを掴んだら、あとは力勝負。大きく育った一年物のイモは人間用、残り部分は刻んで、パクーの飼料になります。(9月4日)
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パクーの追い込み
They enter a farming pond of pacú holding a wide net. They drive pacú toward the opposite bank. Life jacket and coach are mandatory.

養殖池の幅いっぱいに渡した広い網を等間隔に持ち、魚を対岸に追い込んで行きます。背が立たないほど深いところもあるので、ライフジャケットと指導員は必須です。準備と覚悟なしでは決してできません。(9月4日)
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パクーを引き揚げる
Finally, at the opposite bank, they land pacú. It is a very exciting moment for beginners. They land over 200 pacú this day. Then, they remove internal organs, cleanly wash and store the fish in a freezer.

予想を超える、200匹以上のパクーを水揚げすることができました。強い力で跳ねるパクーに、一同興奮しながら、トラックの冷水槽に入れました。(9月4日)
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開墾体験
They experience labor of early pioneers. Each member holds an axe to cut down excessive palm trees (caranday palm). Most members get blisters on their own fingers and palms. Loud voice and coach are mandatory.

過繁茂するシロロウヤシの木を減らす作業です。慣れない斧を持って、手にマメをつくりながらの伐採。伐った木が倒れるときは、人が近づかないよう大声で叫びます。指導員必須。(9月4日)
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グアラニー族との出会い
The team pays a brief visit to "The 1st Seminar of 40 Days for the Indigenous Community of Paraguay" which Guarani people attend. Later, they have a joint fellowship concert, joint dinner, etc.

レダのセミナーハウスでは、「第1回パラグアイ先住民のための40日研修会」が開催中。青年奉仕隊として、グアラニー族と歴史的な出会いを果たしました。以後、合同演芸会、合同食事会など、深く記憶に残る体験が続きました。(9月5日)
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乗馬体験
Horse riding experience at Puerto Canaan. There, the team members observe a crowd of cattle, working cowboys, and semi-wild inner forest. They also enjoy special lunch.

朝からボートでプエルト・カナンの牧場に行きました。たくさんの牛と牧童たちの働く姿を見たり、奥地を探索したり、美味しい昼食をいただいたりして、楽しい時間を過ごしました。乗馬は初体験の人がほとんどで、乗ってみてその高さに驚いたりしました。(9月5日)
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釣り体験
Fishing experience. They go fishing by boat on the Paraguay. The results are: a lot of piraña, some dogfish, some pacú, and one golden dorado!

4隻のボートに分乗し、パラグアイ川での釣りに挑戦。ピラニア、ドッグフィッシュ、パクーなどが釣れました。黄金色の見事なドラードを釣った隊員には、特別賞が与えられました。(9月6日)
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イグアスの滝を見学
By night bus and local bus, they enter Brazil to visit the Bird Park and the Iguazu Falls National Park. It is a must to experience such wonders of the Creator's work.

夜行バスと路線バスとを乗り継ぎ、ブラジルの「鳥の公園」と世界自然遺産「イグアスの滝」とを訪ねました。巨大な楽譜を目の前にして、「言葉が出ないほどの絶景!!」と報告してきました。(9月9日
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abc新聞社を表敬訪問
They visit the head office of abc, Asuncion-based nationwide daily. They have an interview with questions about their experiences and personal impressions they have had in Paraguay. The printed article is coming soon.

パラグアイの首都アスンシオンに本部を置く、日刊全国紙。例年の青年奉仕隊の最後の訪問機関です。記者から質問を受け、奉仕隊員が答えるというインタビュー記事が、全国の読者に読まれます。(9月10日)

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現地で準備と実行に奔走した佐野道准氏の報告: Report by Mr. Michihito Sano, coordinator for the event

今回の青年奉仕隊の活動は、不思議なほどすべて順調だった。予定を変更せざるを得ないような事態は全く起こらなかったし、一人の病人も出なかった。また一つ一つの企画が順調に進行し、しかもとても良いインパクトを残したと思う。

企画の一番の目玉は、観光船をチャーターしたこと。船上でのプログラムの中心は、南米で先駆けて歩んできたパウロ兄弟とミョンスン夫人の体験談。多くの写真を交えた証しはリアルで、若者たちの心に強く焼き付いたと思う。

プエルト・グアラニでは、出来るだけ地元の人々の願いに応えてあげたいと考え、盛りだくさんな内容となった。まず学校の金網柵の設置。全長117mの柵をこしらえ、中央に幅4mの門を造った。そして約20mのレンガのブロック塀を造った。更に校舎の壁を修理してペンキを塗った。そして食堂に壁画を描いた。また40個のゴミ箱の設置。これも住民たちの要請だった。2年前にオリンポでゴミ箱設置のクリーンキャンペーンをしたことを彼らは良く知っているので、同じ依頼があったのだと思う。中高等学校、警察署、診療所、裁判所などの公共機関にそれぞれ複数個のゴミ箱を設置した。

9月2日の歓送式典には、オリンポから教育委員会責任者と市会議長が参加し、この町の責任者と共に、私たちへの感謝の意を述べた。司会を担当した校長先生は『学校に塀を完成させることは自分たちの悲願でした。5年前から教育省に陳情し、州政府にも陳情しましたが予算を取ってもらえませんでした。それを南北米福地開発協会が実現してくださり、心より感謝しています。また、また教室の壁が新しく塗装され、教室が蘇り、食堂に立派な壁画を描いてくれ、多くのギフトをもらい、またこの町をきれいにするゴミ箱の設置までしてくれたことに、単なる感謝という言葉では表現できないほど心から感謝しています。』と述べた。そして南北米福地開発協会と青年一人一人に感謝状が贈られた。また多くの父兄が参加して学校は大盛況だった。

最後は子供たちの民族舞踊と青年たちのダンス。皆一緒に踊って盛況のうちに終了した。その後、隊員と子供たちが最後の別れを惜しんでいた。一緒に写真を撮ったり、戯れたり、連絡法を交換したり。壁画の前で撮影をする人々もいた。本当はすぐレダに向かって出港しなければならなかったのだが、青年たちはなかなか乗船しようとしなかった。最後に先生の指示で子供たちが2列に並び、その間を青年たちが通って船に乗り込めるようにした。

毎回のことではあるが、言葉の壁があるにもかかわらず、青年と子供たちの間に深い絆が結ばれていく。別れるときはお互いが涙を流している。これは何時か必ず近い将来、世界が一つになれることを示してくれていると思う。

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